IFRSの実務

【初学者必見】IFRSと日本基準の違いをIFRS開示経験者がわかりやすく解説【JGAAP差異】

IFRSと日本基準の違い

 

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筆者

 

かなえもん
わたしはIFRSプロジェクトを成功させました

その経験で感じた、日本基準との主な差異を解説しますね

 

わたしは連結決算未経験から、IFRS開示プロジェクトの一員となり、そして無事開示を成功する事が出来ました。

 

開示するまでは『日本基準』と『IFRS』の両方の基準で有価証券報告書を作成する必要があります。なかなかハードでしたよ。

 

その時に『日本基準』と『IFRS』で差異が発生する論点がいくつかありました。GAAP差異と言われます。

 

その時に経験をして学習をした、日本基準とIFRSの差異について解説しますね

 

 

今回は次の3つの流れで解説をします。

step
1
IFRSの基礎を知ろう

step
2
IFRSと日本基準の7つの違いを知ろう

step
3
IFRSの学習方法

 

それでは、順番に解説をしていきますね!


IFRSの定義を知ろう

IFRSの定義

かなえもん
IFRSの定義を解説をしますね

IFRS(国際財務報告基準)

IFRS(International Financial Standards/国際財務報告基準)とは、IASB(国際会計基準審議会)によって設定された「会計基準の総称」です。

引用元:日本公認会計士協会

読み方は「イファース」「アイファース」「アイエフアールエス」があり、いろんなセミナーに参加しましたが、決まった読み方はありませんでしたよ。

 

IFRSは2005年に、EU域内の連結財務諸表に対しての強制適用を契機に普及しました。

 

また、2008年のG20による「単一で高品質な国際会計基準を策定する」ことが目標に掲げられてから、IFRSは世界で急速に普及しています。

 

※『IFRSをもっと詳しく知りたい!』という方は、以下記事で読んで下さいね。

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IFRSと日本基準の7つの会計基準の違い

IFRSと日本基準の会計基準の違い

かなえもん
IFRSと日本基準の違いを解説しますね

 

日本の会計基準基準はIFRSに近づいています。近づいてはいますが、全く同じにはなりません。日本独自の会計基準を続ける論点があります。

 

 IFRSと日本基準の重要な7つの差異

 

実務で重要な差異を、それぞれ解説しますね。

 

①特別損益(異常)の表示

IFRSの損益計算書を見ると、日本基準と異なり特別損益項目がありません。

 

金融庁の損益計算書の雛形を見てみましょう。

損益計算書

引用元:金融庁

 

 IFRSには経常損益がない

IFRSでは経常的項目との区分について、乱用が懸念されたので『特別損益』を設けてないと考えられています。

 

日本基準では経常利益に含めたくない取引を特別損失に区分する場合があります。

 

そのような恣意的な判断をIFRSでは認めていません。

 

それでは、IFRSと日本基準のそれぞれの規定を見ましょう。

 

IFRSの特別(異常)損益の考え方

IFRSでは特別(異常)損益について、次の規定があります。

 

IFRS:特別(異常)損益の規定

企業は、収益又は費用のいかなる項目も、純損益及びその他の包括利益を表示する計算書又は注記において、異常項目として表示してはならない。

引用元:国際会計基準(IAS1.87)

 

ここで「減損損失や固定資産除却損はどこに区分するの?」と疑問に感じるかもしれません。

 

IFRSでは「その他費用」に含まれることが多いですね。その他費用に含まれると、営業損益に含まれます。日本基準とは違いますね。

 

「その他費用」の内訳は、重要性のある取引は注記として内訳を開示しますよ。

 

日本基準の特別(異常)損益の考え方

日本基準で:特別(異常)損益について、次の規定があります。

 

日本基準:特別(異常)損益の規定

特別損益に属するものは、当該利益を示す名称を付した科目をもって掲記しなければならない。

引用元:連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則62,63

 

IFRSとは正反対で、日本基準では特別損益を『別掲しなければならない』と規定されています。

 

減損損失が発生した場合は損益計算書で別掲をして、注書きで減損となった資産の内訳を記載する事が多いですね。

 

②連結の範囲(除外規定)

IFRSと日本基準では連結の範囲が異なります。

 

IFRSでは日本基準と異なり特別目的会社について『実質的に支配しているかどうかを判断して連結の判断をする』と規定されています。

 

ここでは特定目的会社のような細かい論点は省いて、多くの会社が該当する場合を解説しますね。

 

それでは、それぞれの規定を見ていきましょう。

 

IFRSの連結の範囲(除外規定)の考え方

IFRSでは日本基準と異なり、非連結子会社の考えがありません。

 

IFRS:連結の範囲(除外規定)の考え方

IFRS第10号で定義される「投資企業」に該当する場合を除き、全ての子会社を連結しなければならない。

引用元:IFRS10

 

この規定により『実質的に事業活動していない会社』『重要性の低い会社』も子会社とする必要があります。

 

『子会社=連結の範囲』

 

IFRSでは連結の範囲はシンプルです。ただ、ペーパーカンパニーなど『事業活動に影響のない会社』は連結の範囲含めていない場合が考えられます。

 

日本基準の連結の範囲(除外規定)の考え方

日本基準では、非連結子会社の規定があります。

日本基準:連結の範囲(除外規定)の考え方

子会社のうち次に該当するものは、連結の範囲に含めない。

支配が一時的であると認められる企業

②連結することにより利害関係者の判断を著しく誤らせるおそれのある企業

引用元:連結財務諸表に関する会計基準14

 

日本基準では注記で『非連結会社の名称等』を記載します。

 

『子会社≠連結の範囲』

 

事業活動をしていない会社や、規模の小さい会社については、非連結会社とする事で実務を簡便化できます。

 

実務では重要性の基準を作って、その基準に満たない場合は非連結子会社にしますよ。

 

③連結会計間の会計方針の統一

IFRSと日本基準では、含めるべき会計期間が異なる場合があります。

 

IFRSの方がより厳しい規定が設けられています。実務ではこの差異調整にかなり苦戦しました。

 

それでは、それぞれの規定を見ていきましょう。

 

IFRSの連結会計間の会計方針の統一

IFRSでは、会計期間が異なる場合は例外を除き、会計期間を合わせる必要があります。

 

IFRS:連結会計間の会計日間の統一

IFRSは親会社及び子会社の財務諸表は、同一の報告期間の末日時点で作成しなければならない。ただし実務上不可能な場合は例外として認められる。

引用元:IFRS 10.B92,B93

 

『例外規定』があると規定されています。

 

例えば中国の決算日は法律で12月31日と定められているので、日本の親会社が3月決算の場合は期間を合わせる事が出来ませんよね。

 

しかし、現地の決算作業が間に合わないため期間を合わせることが出来ない場合は認められません。

 

例外が認められる:現地の法律で会計期間が定められている

例外が認められない:現地の資料の入手が困難

 

海外でリアルタイムに会計数値の入手が難しい場合は、現地のスタッフと調整をして日本の会計期間に合わせる必要があります。

 

日本基準の連結会計間の会計方針の統一

日本基準:連結会計間の会計日間の統一

子会社の決算日と連結決算日の差異が3か月を超えない場合には、子会社の正規の決算を基礎として連結決算を行うことできる。

引用元:連結財務諸表に関する会計基準 注4

 

『正規の決算でない』場合は調整が必要なので注意して下さい。

 

『正規の決算でない』を補足をすると、決算日の3か月を超えない場合でも、その3か月間で連結会社間取引で重要な不一致があった場合は調整が必要です。

 

重要な不一致の定義は、監査法人と『金額基準』を設けます。子会社化など『質的な重要性』も設けます

 

海外は申告書の提出期限が、期末日と6カ月以内の国もあります。なので日本に比べてゆっくり決算を締めている会社が多いですね。

 

合わせる場合は、現地の責任者との連携が必要になるので、期間が異なる場合は大きな課題になりますよ。

 

④無形資産の認識

IFRSの開示書類で日本基準では見慣れない勘定科目があります。

 

無形資産の注記の中に『顧客客関連資産』があります。

顧客関連資産

顧客関連の無形資産には、顧客リスト・顧客との契約・顧客との関係(顧客との契約が無くても過去の取引において特定の顧客と継続して取引を行っている場合)などが含まれる

引用元:デロイトトーマツ

 

他にもありますが、IFRSの無形資産の注記では顧客関連資産が多く使われています。

 

なぜこのような科目を使うか、それぞれの規定を見ていきましょう。

 

IFRSの無形資産の認識の考え方

IFRSでは企業結合をする時に、無形資産を認識するか検討が必要になります。

 

IFRS:無形資産の認識の考え方

識別可能な無形資産はのれんとは区別して認識する。

引用元:IFRS 3.B31, IAS 38.33

 

IFRS3のように、のれんを償却しない会計モデルでは、定義を満たす無形資産を可能な限り『のれん』と区分して認識する必要があります。

 

識別可能な無形資産については、信頼性をもって測定できるとみなされる

 

この要件があるので、IFRSでは無形資産を認識する場合が多くなります。

 

無形資産を区分して認識することで、無形資産によっては償却が発生するので損益計算書に影響が出ます。

 

日本基準の無形資産の認識の考え方

日本基準でも無形資産の分類に関する基準があります。

 

日本基準:無形資産の認識の考え方

受け入れた資産に法律上の権利など分離して譲渡可能な無形資産が含まれる場合には、当該無形資産は識別可能なものとして取り扱う。

引用元:企業結合に関する会計基準29

 

日本基準では次の2つを満たした場合に、無形資産の計上が必要です。

  • その独立した価格を合理的に算定できる
  • 分離して譲渡可能な無形資産

 

『顧客関連資産』『ロイヤリティ契約』などは時価がないため、分離して譲渡するための計算が困難です。

 

このような要件が日本基準で無形資産を認識しない一つの要因になっています。

 

また、日本基準はのれんを償却するので、無形資産を分類しても同様に償却をします。

 

無形資産を計上しなくても損益計算書の影響は小さいので、実務では無形資産を分けていない企業が多いですね。

 

⑤のれんの非償却

IFRSと日本基準では、のれんの償却方法に差異があります。

 

のれんの償却、のれんの非償却の議論は現在も続いています

 

『IFRS』『日本基準』『米国基準』では、のれんの償却について考えが分かれています。

  • IFRS:非償却
  • 日本基準:償却
  • 米国基準:非償却

 

今後の動向が気になりますね。それぞれの規定を見ていきましょう。

 

IFRSののれん償却の考え方

IFRSではのれんの償却はしません。

 

IFRS:のれん償却の考え方

規則的な償却は行わず、減損の兆候が無くても毎期1回は減損のテストの対象となる。

引用元:IFRS 3.B63(a) IAS 36.88,90

 

償却をしない代わりに、兆候がない場合も毎期1回は減損のテストが必要になります。

 

減損の注記は日本基準に比べて、かなり多いのでのれんに関する記載も増えて負担になりますね。

 

負ののれんについては、日本基準と同様に発生時に収益計上しますよ。

 

日本基準ののれん償却の考え方

日本基準では20年以内でのれんを償却します。

 

日本基準:のれん償却の考え方

のれんは資産に計上し、20 年以内のその効果の及ぶ期間にわたって、定額法その他の合理的な方法により規則的に償却する。

引用元:企業結合に関する会計基準32

 

特段の理由がない場合を除いて、20年で償却している場合が多いですね。

 

毎期償却をしているので、減損の判断は兆候がある場合に限られます。

 

開示資料の注記もボリュームは少ないので、減損の兆候がない決算期は負担が少ないですね。

 

⑥減損の兆候の検討

IFRSと日本基準では減損の基準が異なります。

 

大きな違いは、IFRSは「のれんを除く減損の戻入」があることです。

 

しかし、実務では実際に戻入の判断は難しいので、実施している企業は多くありません。

 

「減損損失の認識」で異なる手順があるので、それぞれの基準を見ていきましょう。

 

IFRSの減損の兆候の検討の考え方

IFRSの減損の兆候の考え方です。

IFRS:減損の兆候の考え方

耐用年数を確定できない無形資産、未使用の無形資産、のれん以外の資産について、資産が減損している可能性を示す兆候があるか否かを評価する場合、企業は兆候を考慮しなければならない

引用元:IAS 36.12

 

資産が減損している兆候がある場合は、次の2つのどちらかの検討が必要です。

  • 個々の資産ごと
  • 資金生成単位ごと

 

どちらかの単位で『回収可能価額』を決定する必要があります。

 

日本基準だと『見積り将来キャッシュ・フローの割引前の簿価』と比較して、簿価が下回っている場合に回収可能価額を決定します。

 

IFRSは日本基準に比べ一段階アプローチが少ないですね。IFRSでは日本基準と異なる『減損損失に関する業務フロー』を作成する必要があります。

 

さらに日本基準と異なり、兆候に関する金額基準がありません。各社で監査法人と基準作成が必要になりますよ。

 

 

日本基準の減損の兆候の検討の考え方

日本基準の減損の兆候の考え方です。

 

日本基準:減損の兆候の考え方

資産又は資産グループの「市場価格が著しく下落したこと」は減損の兆候となる。「市場価格が著しく下落したこと」には、少なくとも市場価格が帳簿価額から50%程度以上下落した場合が該当する

引用元:固定資産の減損に係る会計基準の適用指針15

 

日本基準は『見積り将来キャッシュ・フローの割引前の簿価』と比較して、簿価が下回っている場合に回収可能価額を決定します。

 

簿価の方が大きい場合は『回収可能価額』を決定する必要はありません。

 

さらに50%程度以上下落した場合という、金額基準が明記されているので基準を考える必要がありません

 

IFRSでは金額基準がほとんどないので、それぞれの論点で金額基準と質的基準を考えるのが困難です。

 

基準を考える事は会社のオリジナリティを出せますが、困っている企業の方が多い感じがしますね。

⑦引当金の認識

IFRSと日本基準では引当金の認識が異なります。

 

日本基準で頻繁に使う『賞与引当金』や『貸倒引当金』はIFRSでは引当金ではありません。

 

一度方針を決めると「何で引当金じゃなかったかな?」と忘れてしまう事が多いですね。

 

それぞれの規定を見ていきましょう。

 

IFRSの引当金の認識要件

IFRSの引当金の認識要件を見てみましょう。

 

IFRS:引当金の認識要件

次の3つの要件をすべて満たす場合に引当金を認識しなければならない。

①企業が過去の事象の結果として現在の債務を有している

②当該債務を決済するために経済的便益を有する資源の流出が必要となる可能性が高い

③当該債務の金額について信頼できる見積りが可能である

引用元:IAS 37.14

 

この認識用件で重要になるのが『②当該債務を決済するために経済的便益を有する資源の流出が必要となる可能性が高い』です。

 

※IFRSでは「可能性が高い」の定義を50%超の確率としています

 

IFRSで修繕引当金は該当しない

企業によっては、大規模修繕に備えて『修繕引当金』を認識しています。

 

しかし、IFRSでは引当金の要件に当てはまらない可能性が高いです。

 

それは大規模修繕の前に機械装置を売却した場合は修理の必要がないからです。

 

IFRSで資産除去債務は引当金に該当する

『資産除去債務』は引当金の要件を満たします。

 

資産除去債務を認識している場合は、借りている物件の原状回復が必要です。

 

借りている物件はどのタイミングで解約しても原状回復は必要になりますよね。

 

なのでIFRSは引当金の要件を満たします。

 

日本基準で認められる引当金

日本基準で認められて、IFRSでは認められない論点があります。

IFRSでは引当金にならない論点

①賞与引当金

②貸倒引当金

 

日本基準では、ほとんどの企業が引当金としていますよね。IFRSでこれらの科目は別の論点で検討します。

 

①賞与引当金:IAS19.8の「短期従業員給付」で検討

②貸倒引当金:IAS39の「減損損失」として検討

 

日本基準の引当金の認識要件

日本基準の引当金の認識要件を見てみましょう。

 

日本基準:引当金の認識要件

次の3つの要件をすべて満たす場合に認識しなければならない

①将来の特定の費用または損失である

②その発生が当期以前の事象に起因する

③発生の可能性が高い

④その金額を合理的に見積もる事が出来る

引用元:企業会計原則注解18

 

日本基準では4つの要件を満たす場合に引当金を認識します。

 

IFRSでは認められない賞与引当金が『なぜ引当金になるか?』を考えてみましょう。

 

 賞与引当金の引当金要件を見る

※前提条件※

賞与規定1月~6月の労働に対して7月に支給

決算月3月31日

※引当金の4つの要件※

①将来の特定の費用または損失である

⇒7月支給分に1月~3月の労働対価が含まれる

②その発生が当期以前の事象に起因する

⇒7月支給分には1月~3月分が含まれる

③発生の可能性が高い

⇒規定で賞与支給が定められている

④その金額を合理的に見積もる事が出来る

⇒例年は給与の2か月分を賞与支給

 

賞与引当金は引当金の4つの要件を満たしますね。

 

IFRSでは引当金の要件でなく、従業員給付で定められています。

 



IFRSの学習方法

IFRSの学習方法

かなえもん
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「IFRSの学習方法は定番化されていません」

 

わたしは色々な方法で学習を挑戦して、IFRSの移行プロジェクトを成功させる事が出来ました。そして『知識を増やすことができたな』と感じた経験は資格の学習でした。

 

IFRSの資格の学習は、次の3つがおすすめです。

  • IFRS検定(アビタス)
  • 国際会計検定(batic)
  • USCPA

 

それぞれがIFRSに関する論点を学習するので、実務と合わせるとより早く理解が出来ますよ。

 

 

IFRSのプロジェクトに関わった時の経験談を元にまとめているので、興味がある人はぜひ読んで下さいね!

 

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