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会計の勉強方法は本を読むより、実際の飲食店をイメージすると分かりやすいですよ!
会計と経理の言葉は仕事で使い分ける必要はありません。『経理で会計を使う』と理解すればよいでしょう。
会計の言葉の定義を理解して会計の知識を日常生活に使えば、お金に対する意識が変わる人が多いです。
この記事を読むと「会計」に関する基礎的な考え方が身につくので、最後まで読んでください!
今回は次の4つの流れで解説をします。
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1会計の歴史を理解する
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2会計と経理の違いを理解する
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3お金の考え方を理解する
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4会社で会計を使う
それでは、順番に解説をしていきますね!
会計の歴史を理解する
最初に会計の歴史を解説します。歴史については簿記の試験や公認会計士の試験では出題されません。
学校の授業でも習った記憶がないので、興味がある人だけが知っている知識になります。
会計の考え方の始まり
狩猟の時代で「これだけ保存食があり、村人は何人だから後数日間は大丈夫」と計算していたと考えられます。これも会計です。
そう考えると、会計は人類が誕生した時から、使われていたと考えられますね。
会計の歴史は大きな分岐点でいうと、世界最初に設立された株式会社である「東インド会社」です。おおよそ17世紀ごろです。
航海で必要な大きな船や船員を個人で集めるのは、金銭的な負担がとてもありました。天候が悪くて船が沈没したら財産をすべて失いかねません。
ここで会計の考え方に進化が加えられました。
会計の考え方の進化
そこで「東インド会社」という株式会社を作って出資者を募って、航海が無事完了した後にもうけが出たら、出資をしてくれた投資家に分配する流れになりました。そのあと、少しずつ資本を増やして、貿易の回数を増やして事業をどんどん大きくしていったんです。
航海に出るたびにお金を出してくれる人を集めて、無事に航海が終わっじ戻ってきた後に収穫を分配して、自分たちの手元にも収穫を残して少しずつ財産として残していきました。これを繰り返すして会社は大きくなりました。
日本で最初の株式会社は坂本龍馬が設立した、亀山社中(のちの海援隊)とされています。現在は解散しています。19世紀なので日本は世界に比べて200年ほど遅れて株式会社が設立されました。
会計と経理の違いを理解する
はじめに、重要な内容をお伝えします。
会計と経理は表裏一体の関係にあります。会計の知識は経理をすることで学べて、経理の知識は会計を理解することで学べます。
それほど会計と経理は密接な関係にあるんです。
会計は理論で、経理は実践
会計には法律で基準を求められている「財務会計」と、会社の強みや弱みを数値化する「管理会計」があります。
「財務会計」があることによって、債権者や投資家がいろいろな企業と同じ基準で比較することができます。比較することでこのような判断が出来ます。
「他の会社に比べて利益が出てない」
「他の会社に比べて在庫が多い」
もし、いろんな会社がそれぞれの基準で作成していると、比較ができなくなります。
例えば「売上を計上するタイミングを、契約が成立しそうと判断した時に認識する」とすると「契約が成立してから売上計上する会社」と「契約が成立しそうな状態で売上計上する会社」で比較が出来ません。
「管理会計」があることによって、多数の商品を販売していても、商品ごと発生した費用を計算して比較が出来るんです。
利益の考え方を知ろう
せどりの簡単な取引を出すので、利益について考えてみましょう!
せどりの1日を考えてみよう①
- 購入価格:1個30,000円
- 販売価格:1個32,000円
- ガソリン代:1日1,000円
- 作業時間:12時間
購入価格と販売価格だけを見ると2,000円の利益が出たと感じますが、実際にはガソリン代と自分自身の人件費が費用として発生します。
ガソリン代1,000円、自分自身の人件費を時給1,000円✖️12時間=12,000円とすると、合計で費用が13,000円発生したことになります。
全てを計算式で表すと「販売金額320,000円ー購入金額300,000円ーガソリン代1,000円ー人件費12,000円=△7,000円」になります。
計算をすると利益が無くなってしまいます。しかし、10個購入して10個販売したとすると、結果はどうなるでしょうか?
せどりの1日を考えてみよう②
- 購入価格:10個300,000円
- 販売価格:10個320,000円
- ガソリン代:1日1,000円
- 作業時間:12時間
購入にかかるお金は30,000円✖️10個=300,000円で販売するお金は32,000円✖️10個=320,000円となります。
「販売金額320,000円-購入金額300,000円-ガソリン代1,000円ー人件費12,000円=7,000円」
利益が出ました!
自分自身の人件費を忘れてしまう人が多いですが、きちんと把握して計算することによって、最大の利益が何かを理解することができます。最も大切なのはあなたの時間です。その時間も計算に入れて判断が必要です。
会計の知識を使うと、このような計算ができますよ!
会計と経理の定義を理解する
さきほど経理は実践にたとえました。
「実践とはなんだろう?」
疑問に感じたかもしれません。経理の正式名称は「経営管理」で、経理をする目的は会社を続けるためです。お金にまつわる様々な業務に関わり、会社が継続するために欠かせない業務です。
会計の基準に沿って「どのくらい利益がでてるのかな?」「どのくらい会社に資産があるのかな?」といった会社の家計簿を作る必要があります。
会社の会計簿を作るためには、振り込み業務をしたり、納付手続き、受注や発注、請求書の発行、他にも細かい作業がたくさんあります。そういった作業をまとめてわかりやすく呼ぶと経理(業務)になります。
会計のルールにしたがっていない経理は間違っていることになります。間違っていることをしていると、外部から信用されません。そうなると、お金の借り入れができなかったり、自社で販売している商品の価値が減ってしまったりしまいます。
経理がどんな仕事かまとめた記事があります。>>どんな人がやりがいを感じて、経理に向いている人についても解説しているので読んでください。
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経理の仕事【5つ厳選】経理の仕事はやりがいはある?ベテラン経理がわかりやすく解説【未経験者は必見】
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お金の考え方を理解する
会計の知識は日常生活に関係があるか?正解は「とても関係があります!」
「さおだけ屋はなぜ潰れないかの?」の著者である山田真哉さんは、次のようの述べています。
会計の本質的な考え方とは「目に見えないものを具体的な数字にして見えるようにする、つなげたり違った角度から見たりして物事をシンプルにわかりやすくする、と言った考え方のことです。つまり、「どうすれば物事を的確にとらえることができるようになるのか?」ということにチャレンジしつづけてるいのが「会計」という学問なのです。
この文章を理解するために、日常生活を例にしますね。
「転職前は残業が多かって給料も少なかったけど、 転職後は残業が少なくて給料も多くなった」
「転職前は残業が50時間で給料は25万円だったけど、転職後は残業が10時間で給料も30万円になった」
後半の方が「転職前」と「転職後」で具体的な数値が含まれており、理解しやすいと思います。
数値には抽象化された事象を、具体化する力があります。2つの例を作成しました。
日常で役立つ2つの事例
- 晩ご飯をどこのスーパーに行くかを考えた時
- 自己投資をするか判断
それぞれを解説しますね!
時間もお金と考える
次の2つの場合を考えてみましょう。
「徒歩20分の距離にあるAスーパーで、卵が8個パックで100円で特売中!」
「徒歩10分の距離にあるBスーパーで、卵が8個パックで110円で特売中!」
Aスーパーの方が10円安いですが、Bスーパーとは徒歩10分の差があり、往復で20分の差になります。時間はとても貴重です。「20分と10円」を比べると、多くの人は「少し高いけど近いしBスーパーにしよう」を選ぶと思います。
しかし頭の中で「どっちにしようかな?」と決めた時に、数値として理解しないと「Aスーパーの方が安いからAスーパーで買おう!」となるかもしれません。この例だけでいうと20分の差ですが、こういった小さな積み重ねで、何時間、何十時間と時間を使っていくことになります。
時間はとても大事なので、判断をするときは慎重さが必要です。
自己投資をするか判断
プログラミングを学習したいと思い、ネットで探した場合を考えます。
せどりの1日を考えてみよう②
- 大手で学習料金は3ヶ月で60万円するプラグラミングスクールがある
- 受講生の評価は良い
- コース完了後の周力率は98%
60万円は「結構高いな・・・」と思います。では会計の知識があるとどのように考えると思いますか?
会計の知識を使うと「60万円を使ったとしてそのリターンはいつ回収できるだろう?」と考えます。簡単に計算してみます。
・スクールに行く前は友人と遊んだり飲み会に時間を使っていた
・仮にその時間をスクールで3ヶ月間学んだとしたら、飲み会でお金は減らない
・スクールで3ヶ月間学んだ後に就職して、平均月収35万円とする
・現在の月収が25万円とすると差額は10万円になる
・学習料金の60万円は「差額10万円✖️6ヶ月=60万円」
結果、半年で回収できることになります!しかし、このように考えることもできます。
「給料がそんなに上がるとは思えない」
「途中で挫折するかもしれない」
確かに途中で挫折をして、今後に挑戦するモチベーションが無くなるかもしれません。
この時に考えると良いのが「一番うまくいった結果」と「一番上手くいかない結果」の中間を考えましょう。その時に、失うことの方が多ければ辞めた方が良いです。
今回の例では、プログラミングは成長性のある職種なので、他業種よりも年収が増えていくことが想像できます。こういった判断も会計を学んで日頃から数字に慣れ親しんでいると計算ができます。
会計から学べる数字は日常生活の中でも、「そうだったのか!」と気づかせてくれることが多いですよ!
会計の学習方法を理解する
まずは簿記について学ぶのが良いです。簡単に紹介します。
「会計=簿記」と例えられることが多いですが、 簿記を勉強すると会計の理解につながるからです。簿記の正式名称は「帳簿記入」です。
イメージは「仕訳」というツールを使って、「仕訳」から様々な場所に参照がされます。そして「仕訳」を全て合わせて「貸借対照表(BS)」や「損益計算書(PL)」が作成されます。
簡単に言えば「貸借対照表(BS)」は会社の資産と負債と今までどれだけ利益を積み立てたか確認する指標です。「損益計算書(PL)」は会社が定めた期間の中でどれだけ利益が出たかを確認する指標です。多くの会社が1年を基準にしています。
簿記に関しては論点が多いので、こちらの記事で詳しくまとめました。ぜひ読んでください!
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簿記の学習【失敗しない】簿記の知識を仕事に活かす方法を解説します【簿記1級、簿記2級、簿記3級】
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ここカフェはお気に入りでお客さんが多いけど、どれくらいもうかっているんだろう?こんな疑問に思ったことがあるのではないでしょか?推測になりますが、店舗を観察していると計算する事ができます…
これからパン屋さんに入って、この店の1日の利益を予想します
①売上高:1個100円のパンが10杯売れたとして全部で1,000円の売上高
②仕入高:100円のパンの原材料は1個70円とすると全部で700円の仕入高
③給与:1人20円のアルバイトを5人雇いました。全部で100円の給与
④家賃:近所の1坪あたりの賃料は8円として10坪だと全部で80円
⑤光熱費:推測しにくいので、家賃の1/4とします。光熱費は20円
これらは全て推測ですが、その店を観察していると近い数字になると思います。仕入高は業界ごとに、売上高に一定の割合を乗じた金額に近いとされています。今回はカフェで多い基準の売上高のうち70%を仕入高と仮定しました。
「損益計算書(PL)」ですごく簡単にまとめますね。
売上高:1,000
仕入高:700
売上総利益:300
給与:100
家賃:80
光熱費:20
経費(給与+家賃+光熱費):200
利益:100
※他にも経費はありますが省略しています※
売上高のうち仕入高は70%の計算で「コーヒーはほとんど仕入高は発生しないはず!」と言われるかもしれません。
「その通りです!」
あくまでも平均値なので、安く仕入れることができる商品や、高く仕入れる商品があります。こういった想像を重ねていくと、不思議とそのお店の利益が推測できます!
会社で働いている時に使う
会社には色々な部署があります。商品開発部、営業担当、法務部、M&A、他にもたくさんあります。
そして、商品開発部で働いていると商品開発をした後に予算を決めて、予算に収まるように開発していくことがあります。
さらに進めていく中で、経理部門から「その製品にかかる全ての費用を計算したので報告があります」と神妙な顔つきで報告があるかもしれません。
経理部門からの報告
「実は、販売するたびに赤字になります・・・」
突然そんなことを言われると、頭が真っ白になります。そんな状態で、数字をたくさん与えられて、説明を受けることになると思います。数字を並べられるとそれらしく見えるので、そういった時に思考がストップしてしまう人がいるかもしれません。
しかし会計を学んでいると、対等に経理部と話をすることができます!
経理部に確認する事項
- この費用をなぜこの製品に負担させるのですか?
- 配賦率(はいふりつ)が現実と乖離しているように思います!
配布率(はいふりつ)とは建物の減価償却費や、事務員の人件費など特定の製品に結びつける事が難しい費用を、関わった割合で費用負担させる割合です。
建物の減価償却費:1,000万円
事務員の人件費:100万円
建物と人件費を、各製品に費用負担させる必要があります。
製品A:50%
製品B:30%
製品C:20%
多くの場合は製品の稼働時間や特定の人員を製品に関わる割合で配布率が変わってきます。建物の減価償却費(1,000万円)と事務員の人件費(100万円)の合計(1,100万円)に配布率をかけて求めます。
配布率の検証
製品A:1,100百万円✖️50%=550万円
製品B:1,100百万円✖️30%=330万円
製品C:1,100百万円✖️20%=220万円
あなたが製品Aの製品担当者の場合に、50%の配布率が高いと証明できれば、配布率が低くなって製品Aの原価が低くなり利益を生む商品になります。
配布率が5%変わっただけでも、製品に振り分けられる金額は55万円も変わってきます。配布率は本当に大事なんです。
会計を理解するとこういった議論ができます!
筆者の経験
わたしも損益計算書(PL)を作成して社長に報告をすると「この部門でこんなに損失になるはずがない!」と言われたことがありました。内容を確認すると、全社で出した広告費を各部門への費用の配分が思っていた数値と違ったようです。
広告費の配分方法は会社ごとで決めることができるので、いろいろ考え方があります。もちろん、筋道が通っている必要があります。例えば配分方法は「売上」や「社員数」などがあり、ここの認識に相違がありました。事情を説明して、なんとか納得いただきました!
どちらが正しいということではありませんが、考え方次第で部門の損益が変わります。
損益が変わることにより、その部門で働いている人の評価が変わるので、とても注意が必要です。
「会計とは何か?」のまとめ
この記事では、いろんな数字を想像して予想をしてきました。これらは特別なスキルは必要ありません。わたしは学校では成績は普通でした。
それでも簿記を勉強して、よく行くお店の利益を考えたりして、想像力をつけました。働いてからは外食産業やソフトウェア産業の経理も経験したので、より高い分析と知識が身につきました。
会計を知ることは日常生活の中で参考になる場面が多いです。ここでいくつか紹介しました。
会計を知っていると役立つ場面
- スーパーでの購入
- 資格を申し込むときに自分にとって価値があるかの判断
- パン屋さんでの利益予想
- 商品を販売するときの考え方
知っておくことは判断基準が多くなるということです!
ここまで読んで頂いて有難う御座います!少しでも経理の仕事と会計に興味をもっていただけると嬉しいです!20代と30代で経理の仕事を始めたい人に向けて記事を書いています。経理をしてみたい人は読んでくださいね!
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