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【経理の仕事はなくなる?】ベテラン経理が経理業務の将来性を解説します【ビジョンを明確に!】

経理の仕事

 

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ぷらいむ
経理業務は今後も必要とされる業務と、そうでない業務があります。経理15年間の経験で違いがよく分かります。

今の業務が『必要とされない業務』であれば注意が必要ですよ!

 

経理の仕事は、AIのテクノロジーの進化で経理の仕事は今後も必要とされるか不安に感じる人が多いです。

 

この記事では「必要とされる経理業務」「必要とされない経理業務」の違いを解説して、経理業務に対する不安を解消します。

 

それでは、順番に解説をしていきますね!



 

経理はなくなる仕事か?

経理は無くなる業務?

オックスフォード大学のマイケル・A・オズボーン准教授が発表した研究に『将来なくなる仕事』の発表がありました。

 

その中に「簿記、会計、監査の事務員」という項目があり「経理業務がなくなってしまうのでは?」と相談を受けたことがあります。

 

答えは「なくなる仕事」と「なくならない仕事」の両方が存在するです。

 

経理業務は幅広い

経理業務は仕訳の登録や小口現金の精算から始まり、予算の作成や予算と実績の分析まで幅広いです。

 

その幅広い経理業務の中で『必要とされない業務』を担当していると、今後はテクノロジーの進化で仕事を奪われる可能性が高いです。

 

言いにくいのですが、現時点でも仕事を奪われる状態にありますが、担当者の仕事がなくなるので、業務方法に変える事ができない会社も多いです

 

経理で重要な仕事をする

この記事を読むと、経理の仕事に興味がある人や現在経理の仕事をしている人が疑問に感じている、覚えるべき業務が理解できます!

 

覚えるべき業務は『経理で重要な仕事』です。『経理で重要でない仕事』はなくなる可能性が高いです。

 

わたしは運よく今後も必要とされる経理業務を経験する事が出来ました。経験する前は何が必要で何が不必要が分からなかったので、経理に関する仕事は何でも引き受けたんです。

 

結果として、預金合わせの簡単な仕事から、税金計算の難しい仕事まで経験をして、現在では連結決算と連結グループの予算作成を担当しています。

 

これから『必要とされなく経理業務』『必要とされる経理業務』を解説していきますね!



 

必要とされない3つの経理業務

必要とされない業務

ここから経理業務の中で「必要とされなく可能性が高い業務」を解説します。主に付加価値を産む事が難しく、繰り返し作業になるものが該当します。

 

ERPなどの外部システムを使うと、より効率的にできます。予算の関係もあるので、この記事では「エクセル」を使ったケースで解説しますね!

 

不要業務①:仕訳の手入力

わたしは経理を始めた時は手で仕訳を作成していました。

 

しかし、仕事が慣れてきて業務改善ができる立場になった時は、ほどんどの業務を自動化したので、手入力で登録する仕訳はほとんどありませんでした。

 

自動化しやすい仕訳は次の3つです。前払費用や前受収益の振替や、毎月同額の仕訳はコピーの方が早いですよ。

  • 預金合わせ
  • 請求書関連
  • 請求書以外の支払関係

 

それぞれ解説していきますね!

 

預金合わせ

『通帳』を見て預金合わせをしている場合は、手入力で仕訳を登録するしかありません。

 

『通帳』でなく『Web』で入出金を管理している会社は、多くの金融機関でcsvファイルでダウンロードしてデータ化ができます。

 

csvファイルにできない場合は、Web上からコピーをしてエクセルに貼り付けることができます。データ化する事ができれば、次の手順で仕訳を登録します。

 

預金合わせの手順

①事前にエクセルでマスタを作る

②会計ソフトにインポートできる配列に変換する

③csvファイルに変換する

④会計ソフトにインポート

 

その月に新しく発生した入出金がある場合は、エクセルのマスタの更新が必要になるので、完全に自動化することはできません。

 

しかし、大幅な時間は短縮できるので、預金合わせに関する業務は減少します。

 

現状で預金合わせの完全自動化は難しいですが、単純業務なので必要とされなくなる業務に分類されますよ。

 

請求書関連

『請求書を発行する場合』『発行される場合』に分けて解説します。

 

多くの会社は取引先に請求書を発行して、取引先から請求書を受け取ります。

 

請求書を発行しない業種があります。それは飲食店です。飲食店は個人消費者が対象なので請求書は発行しません

 

請求書の発行は、システムを使ってもエクセルを使っても手間は変わらないので、仕訳を作成する観点で解説します。

 

請求書を発行する側の場合

請求書を発行する方法は2つあります。

  • 請求書管理システム
  • エクセル

 

取引が少ない場合は、エクセルで入出金管理と請求書を発行ができます。

 

業務量によりますが、取引先が10件を超えるとエクセルでは管理が難しくなります。取引先ごとにファイルで管理するので、数が多くなり間違いが増えるからです。

 

それぞれの場合の手順を確認しましょう。

 

 請求書管理システムを使う

請求書管理システムの仕訳作成手順

①会計ソフトへインポートする変換ファイルを準備

②請求書管理システムからcsvファイルをエクスポート

③変換ファイルで会計ソフトインポート用に変換

④変換後のデータを会計ソフトにインポート

 

請求書管理システムからデータをエクスポートできても『会計ソフトにインポートするための配列』に変換する必要があります。

 

事前に変換するためのエクセルを作り、仕訳を作成する準備したエクセルを使って変換します。

 

変換用のエクセルは、一度作成すれば次回からは流用できるのでとても便利ですよ

 

高機能の会計ソフトは、仕訳ごとに証票管理ができて、請求書管理システムから連動して自動で仕訳を作成する事ができます。

 

 エクセルを使う

エクセルの仕訳作成手順

①会計ソフトへインポートする変換ファイルを準備

②エクセルでまとめた取引をエクセルに貼り付ける

③変換後のデータを会計ソフトにインポート

 

取引先が少ない場合は、日々の取引をエクセルで管理して、仕訳を作成する時に変換用のファイルを使って、会計ソフトにインポートします。

 

何度もエクセルからエクセルにコピペをします。なので、間違える可能性があるので多少の間違うリスクがあります。

 

マクロを使えば、全取引先データから該当の取引先を抽出、PDF、会計ソフトへのインポートの自動化が出来ますよ

会計ソフトを使うのと同じ時間で業務ができますが、マクロの知識が必要になるので専門知識が必要になります。

 

『請求書管理システム』『エクセル』のどちらを使う場合でも、ほとんどの業務を自動化する事ができます。多くが単純業務なので必要とされなくなる業務に分類されます。

 

請求書を受取る側の場合

請求書は『紙で請求書を受け取る』『データで請求書を受け取る』場合があります。どちらで受け取るかは、請求書発行側の都合になります。

 

近年は印刷コストや発送コストがあるので『データで請求書を受け取る』場合が多くなっていますよ。それぞれの場合で、仕訳を作成する方法を解説します。

 

紙で請求書を受取る場合の仕訳作成手順

①会計ソフトへインポートする変換ファイルを準備

②紙で届いた請求書を変換ファイルに入力

③変換ファイルで会計ソフトインポート用に変換

④変換後のデータを会計ソフトにインポート

 

『紙で請求書を受け取る』と、必ず会計ソフトにインポートするための入力作業が必要になります。さらに、部門数が多い場合は手で分ける必要があるので、間違うリスクが大きくなります。

 

入力作業をする事で間違うリスクが増えるので、可能であれば『データで請求書を受け取る』方がいいですね。

 

データで請求書を受取る場合の仕訳作成手順

①会計ソフトへインポートする変換ファイルを準備

②データで届いた請求書を変換ファイルに貼り付け

③変換ファイルで会計ソフトインポート用に変換

④変換後のデータを会計ソフトにインポート

 

データで請求書を受け取る』ことが出来ると、会計ソフトへインポートする変換ファイルに貼り付けで作業が完了して、間違うリスクを回避できます。

 

請求書関連も、新規取引先や新規勘定科目を使う場合があります。完全に自動化することはできません。多くが単純業務なので必要とされなくなる業務に分類されます。

 

不要業務②:経費精算関係

多くの会社で、交通費や立替払いをした時のために『経費精算』があります。

 

本社、支店、店舗、工場などで、消耗品を購入したり、交通費の精算は日常的に発生します。このような業務を小口現金として、多くの会社はエクセルで管理しています

 

経費精算については、エクセルと会計ソフトを連動することは可能です。しかし、現金を扱うことはデメリットがあります。

 

現金を扱うデメリット

①精算の順番待ち

②盗難のリスク

③不正のリスク

 

このような理由から『エクセルの管理』から『Webサービス』を利用して、経費精算を給与と同時に振込む方法が主流となってきており、経費精算の業務が減ってきております。

 

完全に自動化はできませんが、お金を扱うリスクから解放されます。『Webサービス』の平均的な導入費用として、初期費用100,000円と導入後のランニング費用が月10,000円くらいで運用できますよ。

 

管理の時間と不正のリスクを考えると、それほど高い支出ではないと思います。経費精算業務は、多くが単純業務なので必要とされなくなる業務に分類されます。

 

不要業務③:グループ間取引(連結決算)

上場子会社の場合、決算期ごとに『関係会社との内部取引の突合』があります。

 

内容を簡単に説明すると、親会社が上場企業の場合は親会社と子会社の取引は、外部から見たら一体としてみなされます。なので、取引を調整する必要があります。

 

上場親会社が複数の関係会社を持っている場合、次の取引を管理する必要があります。

調整が必要な取引

①親会社と子会社の取引

②子会社と子会社の取引

③子会社と関連会社の取引

 

会社が多いと取引の集計が大変

準備がない状態で決算を迎えると、集計をする時間がとても時間がかかります。集計をしても認識の違いで取引が一致しない場合は原因追及が必要です。

 

ただ、取引は会計ソフトで補助科目を設定できます。内部取引で拾う必要のある取引は、勘定科目の補助科目で統一をすると、補助一覧を確認した時に取引額が確認できます。

会社コードのルールを作りましょう。集計の必要がある会社コードは補助一覧を開いた時に、上段に表示することが重要です。とても集計しやすいです

 

工夫することにより、かなりの時間が短縮できます。グループ間取引も短縮こそできますが、完全に自動化はできません。

 

グループ間取引の集計は、多くが単純業務なので必要とされなくなる業務に分類されます。



必要とされる4つの経理業務

必要とされる業務

ここから経理業務の中で「必要とされる可能性が高い業務」を解説します。主に付加価値を産む事ができる業務が該当します。

 

 

ここからは、経理業務の中で、今後も必要とされる業務を解説します。毎月必ず発生する業務の中で、毎月同じ内容にならない業務です。

 

そのような業務は「答えは一つではなく付加価値をつける事ができる」ので、他の人と差別化をする事ができます。

 

必要業務①:資金繰り管理

会社の資金繰りを担当するのは、財務担当者がいる場合があります。小さい規模の会社は経理が兼任しています。

 

会社が「破産しました!」という言葉はよく耳にしますが「破産=資金不足」です。たとえ利益が出ていなくてもお金が残っていれば、会社は存続できます。

 

預金合わせは「結果」を処理しますが、資金繰りは「結果まで」を考えます。似ているようで、業務も責任も大きく異なります

 

わたしが担当をした会社で、資金が不足した時はグループ会社から資金を借入るのですが、本当にお金が足りない時にしか借入れる事ができませんでした。

 

本当にお金が足りない時は、会社のすべての現預金を集めてもお金が足りない状況です。グループ会社であれば、少しでも足りないと判断をすると借入れる事が出来ます。

 

タイトル

担当している会社のメイン口座の預金残高が1,000円未満になった時は『残高不足で引き落としができない取引はないか?』を入念に確認しました

 

資金繰りを管理していない会社はなく、会社の業績によっては、毎日残高不足にならないように注意が必要です。資金繰り業務はなくなることはありません。

 

必要業務②:予算と実績の分析

会社が成長していくために、予算を作成してその結果をみて「どこが良かったか?どこが悪かったか?」の検証が必要になります。

 

学校のテストと同じで、成績を伸ばすためには返却されたテストを見て「なぜ間違ったか?」を検証する必要があります

 

会社でも同じで、売上を100万円見込んでいたのに90万円の結果だったとします。この結果を分析して「なぜこの結果になった?」という問いが大事です

 

90万円の中には『予想よりも売上があった商品』『売上がなかった商品』があるはずです

 

予想よりも売上た商品

予想よりも売上た商品は、今後も売上が増加する可能性が高いと考えられるので「なぜ売れたんだろうか?」と考えます。

 

それに関連する商品を販売すると、さらに売上の増加が見込まれる可能性が高いからです。

 

予想よりも売上がなかった商品

逆に予想よりも売上がなかった商品を「なぜ売れないんだろうか?」と考えることで、今後の販売戦略を変える事ができます。

 

経理は誰よりも早く気づく事ができるので、非常に重要な役割です!

 

必要業務③:経営者の悩み事解決

経営者の多くは「希望」「不安」を持ち合わせて会社を運営しています。

 

経理部門はそのような経営者の「希望」を実現して「不安」を解消することができます。

 

経営者が考えている希望

ここでいう「希望」は「事業拡大する構想は頭の中にあるが、実現可能か判断する数値に関する確認ができない」です。

 

経営者は細かい数字よりも、会社の方向性を決めるために、日々尽力しています。経理部門は経営者が思い描いている「希望」を実現する事ができます。

 

なぜ実現できるかというと、月次報告をしていると毎月会社で発生する固定費は自然と記憶しているからです

 

さらに、新しい事業に関する売上と原価を見積もる事ができれば、事業拡大に関してどのくらいの利益が見込めるかが計算できます。

 

ここが非常に重要です!経営者は時代に合わせて、常に新しい事業を考えているので、リアルタイムに意思決定をする事が大事だからです。時代変化が早い現代では特に大事ですよ!

 

経営者が考えている不安

さらに「今はこの事業で利益が減少しているが、今度はどうなるだろう?」と考える事があります。

 

そう言った事業の撤退をするタイミングは非常に重要です。撤退せずにズルズルと事業を継続してしまうと、他の事業の利益を奪いかねません。

 

早急に「なぜその事業で利益が減少しているか」を分析する必要があります

 

その時に、リアルタイムで意思決定をする事が大事です!経理部門は会社の数値を把握しているので、経営者に数値を具現化して説明する事ができます。経営者にとって必要不可欠な存在なのです!

 

必要業務④:税務関係の知識

節税を考える時にまず「会計」「税務」『費用と利益』の計算方法が違う理解が必要です。計算方法が違うので税金額に影響します。

 

実務で発生する主な違いはいくつかあります。

会計と税務の主な違い

①交際費

②引当金関係

③減損損失

④評価損関係

 

この知識がないと、節税の認識が誤ってしまいます。費用を減らせれば利益が減って、納税額が減少すると思ってしまう経営者がいるので、説明が必要です。

 

さらに、法人税を控除できる制度(節税)があるので、このような制度を利用して経営者にアドバイスができます。

 

高度システムの導入を行った場合に利用できる「5G投資促進税制」や、従業員の給与が増加した場合に利用できる「所得拡大税制」があります

 

入手する資料が多い場合がありますが、正しく作成できる知識があると、副業ができる程の専門知識です!

 

顧問税理士と契約をすればアドバイスをもらえますが、それには費用がかかる可能性があるので、経理部門で税金の知識がある人材は貴重です。



 

経理として成長し続ける方法

経理として成長する方法

ぷらいむ
経理は担当する業務でスキルが変わります

 

経理部門は立場ごとに担当業務が異なります。さらに会社の規模によっても、求められる能力が違ってきます。

 

中小企業の人員構成

会社が小規模:経理以外の業務があるが、経営者の考えが間近で聞ける

会社が大規模:経理の専門的な分野を担当して知識を身に着ける事ができる

 

立場と会社の規模にの詳しい分類は経理で獲得できるキャリアプラン』をまとめています。経理は目標設定が大事なので読んでくださいね。

>> 経理のキャリアプランを役職ごとに解説

 

「経理の仕事はなくなるか?」のまとめ

経理はなくなるかのまとめ

ここまで「必要とされない経理業務」「必要とされる経理業務」を解説しました。

 

必要とされない3つの経理業務

  • 仕訳の登録
  • 経費関係の処理
  • グループ間取引(連結決算)

 

必要とされる4つの経理業務

  • 資金繰り管理
  • 予算と実績の分析
  • 経営者の悩み事解決
  • 税務関係の知識

この先どのように技術が発達していくかはわかりません。しかし、コンピューターが発明された時は「事務作業はなくなる」と言われていました。結果は、もとめられる数値がより詳細になり、それの数値を作るために膨大な時間が必要です。

 

「技術が進歩すれば、求められる数値も複雑になる」を繰り返している気分です。

 

その中でも、なくなる仕事は出てくるので、経理をしているあなたは、なくならない仕事に集中してスキルアップしていくことをおススメします!

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